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NEW★第9回★ 観点を変えると、違う世界が見える

観点を変えると、違う世界が見える

https://note.com/harumiichikawa/n/na9b76b0ab12e

2021/01/28 09:40

 こんにちは。
 今回は「観点」について考えてみたいと思います。

 まずは、次の動画を見てください。
 最初は山の上にある道が見えると思います。

 山に見えていた絵を180度回転させると、終わりには谷に見えます。

山と谷反転

 次の写真は2つのものをそれぞれ上から写したものと、横から写したものです。上から見たときには、どちらも「カップっぽい」同じような形ですが、横から見ると違った形、違った用途(湯呑とワインカップ)ということが分かります。
 同じものでも、見方を変えると見えるものが変わってくるのです。
 私たちは通常、一目見ただけで、湯呑かワインカップかを見分けることができますが、それは、無意識のうちに複合的・立体的に見ているからです。ある視点からものを見るということは、他の要素を排するということでもあるのです。

湯呑とワインカップ

 ものごとについて、ある視点から見えるものだけに限定することは、多くの情報をすてることでもありますが、一方、だかからこそ、異なるものとの「同じ」を見つけることができるとも言えます。
 たとえば、次の写真のように、湯呑もワインカップも卓球ボールも、上から見た形に限定すれば、「同じ」です。他の要素を排して、その視点で見えるものだけに限定すると、まったく違うもの同士にも「同じ」を見つけることができるのです。
 見方(視点)を変えることが、創造的な発想力に必要な理由がここにあります。

湯呑、ワインカップ、卓球ボール

 ET理論(等価変換創造理論)では、異なるものの中の「同じ」を見つけるための「視点」のことを「観点」と呼んでいます。
 「観点」がなければ、異なるものの中から「同じ」を見つけることはできません。先に説明したとおり、見るものを限定して、どういう点で「同じ」なのかを明確にする必要があるからです。たとえば、蝶の口と同じ何かを見つけようとするときに、観点を「収納方法」とし、見方を限定すれば、「同じ」ものとして、糸や賞状などいろいろ見つかります。

蝶の口、糸、賞状

 また、たとえば、同じ蝶の口について、観点を「機能」とすると、ストローや給油ポンプなどと「同じ」が見つかります。

蝶、ストロー、給油ポンプ

 どちらの観点でも、もっと探せばもっといろいろなものが見つかると思います。(このあたりのことは、「異なるものの中から「同じ」を見つける力が発想力を伸ばす」に書いています)。

 こうして見つける「同じ」とは、上の図で言えば、「イコール」の部分で、ある観点から抽出(抽象化)した「本質」(ある観点での本質)です。
 ですから、「観点」を変えることは、同じものの中から別の「本質」を見出すことです。
 そして、その「本質」によって、「同じ」である異なるものも変わってきます。

 観点という、本質を抽出するための軸があるから「本質」が定まる。だから、その「本質」が「同じ」ものを見つけることができます。つまり、観点があるから、異なるもの同士をつなげて見ることができるのです。
 また、このように考えることもできます。
 単独では、そのものに関する観点は無数にあり、したがって本質も無数にありますが、別のものとの「同じ」が見つかると、観点と本質が定まります。

単独では観点は任意

 

ツバメの赤ちゃん、がま口

 たとえば、ツバメの赤ちゃんについて「ある観点での本質」を見つけようと思えば、「鳥(観点:生物の種類)」とか「赤ちゃん(観点:成長段階)」とか、「かわいい(観点:見た目の印象)」とか「エサを親からもらう(観点:栄養の獲り方)」とか「くちばしが黄色い(観点:外見)」とか、「ピーピー鳴く(観点:主な行動)」とかいくらでも見つかります。
 それが、たとえば「ツバメの赤ちゃんの口」と「がま口財布」との「同じ」が見つかると、「大きく開閉するしくみ(観点:口の開閉のしかた)」という観点と本質が定まります。

 つまり、特定の観点を決めて、そこから本質を抽出し、異なるものの中にそれと「同じ」を発見することもできる一方、逆に、直感的に異なるもの同士の「同じ」を発見することで、新たな観点と本質が見出されることもあるのです。

 じつは、これと同じようなことが「ひらめき」の瞬間にも起きています。多くの革新的な発見や発明では、このことが起きています。

りんごが落ちたことから万有引力を発見
お風呂に入るとお湯があふれたことからアルキメデスの原理を発見
 などなど。
 このnoteでもこのようなひらめきによる開発の事例を紹介してきました。
板チョコからカッターナイフを発想
洗いものの皿に浮かんだ油からガラス製法を発想
保冷用の蓄冷剤からアイスクリームメーカーを発想
タコの酢の物からバスケットシューズを発想

 どの場合も、偶然目に入ったあるもの(あること)と、まだ存在していないもの(まだ明らかになっていないこと)の間に「同じ」を見つけたと同時に、新しい観点と本質を見出しています。
 このような例を見ると、「異なるものの中から『同じ』を見つける」ことは、単独でものごとを見るだけでは気づきにくい観点や本質を見つけ、革新的な発想を得るチャンスになるかもしれないことが分かります。

 あるものについて、「見方を変えると見えるものが変わる」と言えるならば、「『観点』を変える(見つける)と、違う世界が見える」と言えるのではないかと思います。
 以前紹介したウォークマンの開発では、もともとあったポータブルテープレコーダーについて、「いつでも音楽を楽しみたい」という新しい観点を導入したことで(ほとんど、それだけで)、まったく新しい歴史的な製品が生みだされました。

 創造性にとって新しい観点を見つけることが非常に重要というのは、この例が示すとおりです。

 

創造理論「等価変換理論(Equivalent Transformation Theory =ET理論)」による子ども向けプログラムを開発・実施。創造性は生きる力につながります。ここではET理論の基礎となる考え方や、その視点から考えたことを書いていきます。等価変換創造学会準会員。

NEW★第8回★「反対」なのに「同じ」ということもある

引用 市川はるみさんのnoteから https://note.com/harumiichikawa/n/n8d50d2ed5ed8

昨年はコロナで予想もしなかったような1年になりましたね。今年もどうなるのか分からないことが多いですが、少しでもいい年にしていきたいものです。本年もよろしくお願いします。

さっそくですが、今回は、「反対」なのに「同じ」ということについてです。

あとあ

みどり色の字も白抜きの字もどちらも「あ」で同じです。
判子にも文字が朱色になる「朱文」と文字が白になる「白文」がありますね。文字と背景の色が「反対」だけど、同じ文字です。
これは当たり前すぎる例ですが、もう少し複雑なものでも「反対」なのに「同じ」例はたくさんあります。

たとえば、ジョギングとランニングマシンを使ったトレーニングでは、身体を動かして「走っている」のは同じですが、ジョギングでは移動するのは地面の上の走っている人なのに対して、ランニングマシンでは足元のベルトが移動(回転)します。

ジョギングとランニングマシン


とくれば、次はこちらですね。

階段とエスカレーター


階段では、人が自分の力で上がっていきますが、エスカレーターでは人は立っているだけで、足元のステップが上がっていきます。ここでは「上がる」図になっていますが、もちろん「下がる」でも同じです。
固定された階段と反対に、階段のほうが「上がる(下がる)」わけですが、階段(ステップ)が上がりつづけるためには、ランニングマシンのベルトと同じように、階段が輪のようにエンドレスで回るようにしなければなりません。
ベルトとちがって階段状のものをぐるぐる回すのためには複雑な構造が必要です。すごくわかりやすい3Dアニメの動画がありました。

エスカレーターは、「人が上に移動する/下に移動する」という点は階段と同じでも、階段とは全くちがう多くの技術によって「階段の反対」が実現されています。

こんな例もあります。
今は魚を焼くときは魚用のロースターを使うことが多いと思います。でも、1960年代くらいまでの日本では、珪藻土でつくられた七輪で炭火をおこして焼くのが一般的でした。おいしく焼けるのですが、魚の油が炭の上に落ちて煙がもくもく出るので、庭や路地など屋外で焼くのが定番だったそうです。

画像4

でも、高度経済成長の中で、都市部では集合住宅が増え、急速に人々の生活様式が変わっていく中、煙の出ない魚焼き器(ロースター)が開発されました。
煙を出さないために考えられたのは、熱源を下から上にすること、つまり熱源と魚の位置を反対にすることでした。上から焼けば、油が下に落ちても煙は出ません。

七輪とロースター


でも、魚焼き器は七輪の熱源の位置をただ反転させただけではありません。熱源は電熱器で、下に落ちる油の受け皿がついていたり、それに適した形になっています。炭火をおこさなくていいので便利になり、室内で簡単に魚が焼けるようになりました。
一方、焼き上がりは七輪で焼いたおいしさには叶わないため、今では炭火や珪藻土の赤外線効果を補うなど、いろいろな改良が加えられた魚焼き器があります。
七輪と魚焼き器も、図にしてみるとシンプルですが、まったく違う技術によって作られています。

つぎに、エネルギーの入力(インプット)と出力(アウトプット)が逆になっている例です。
扇風機と風力発電です。扇風機は電力を入力して羽根を回し、風を起こします。風力発電は風のエネルギーで羽根を回し、発電します。羽根の回転を挟んで、電力と風のエネルギーのと入力と出力の向きが反対です。

扇風機と風力発電

もう一つ、エネルギーの入力と出力が反対になっている例を紹介します。水車と外輪船です。

水車と外輪船


(水車写真はphotoACさんより。外輪船の写真は、琵琶湖で外輪船を就航している琵琶湖汽船のHPから使わせていただきました。外輪を真上から見られるスポットもあるそうで、水を押して船が進む様子をじっくり観察できそうです)

水車は、川などの水の流れを板で受け止めて水車を回し、垂直に回転する運動を機械的に水平の回転に変換して、日本では精米や製粉に利用されてきました。お蕎麦屋さんに水車小屋があったりますよね。水車の回転する力を利用して石臼を回し、じっくりそばの実を挽いて作ったそば粉はおいしいそうで、今でも実際に水車を使って製粉しているこだわりのお蕎麦屋さんもあります。
最近では、水車は発電に利用されることが多くなりました。水車の回転するエネルギーで発電します。風力発電とまったく同じ原理です。
外輪船は、エンジンの動力で水車を回し、つぎつぎに水を押してその反作用で進みます。カヌーのパドルと同じ原理です(外輪船の「水車」部分も「パドル」と呼ぶそうです)。
水車は、水の流れをエネルギーとして取り出して、そのエネルギーを製粉や発電という目的に使っています。外輪船は、エネルギーを使って水車を回し、水の上を進むために利用しています。
エネルギーの入力と出力を逆にすることで、まったく違った目的を達成しています。

以上、「移動するものが反対」「熱源の位置が反対」「エネルギーの入力と出力が反対」の例を見てきました。因果関係や位置、エネルギーなど、1つの要素が逆転しているだけで、まったく異なる技術の開発につながったり、まったく異なる目的が達成されていたり、ダイナミックな違いが生まれていることがわかります。

身の回りの技術や物事についても、なにか1つの要素を逆転して考えてみると、まったく新しいものが見えるかもしれません。柔軟な発想力のために「逆さにしてみる」ことはおススメです。

創造理論「等価変換理論(Equivalent Transformation Theory =ET理論)」による子ども向けプログラムを開発・実施。創造性は生きる力につながります。ここではET理論の基礎となる考え方や、その視点から考えたことを書いていきます。等価変換創造学会準会員。

★第7回★「異なるものの中から『同じ』を見つける」力は、あらゆる区分を飛び越える

引用 市川はるみさんのnoteから https://note.com/harumiichikawa/n/n48fe775c6bd8

「異なるものの中から同じを見つける」力は逆境に強い

 

こんにちは。
緊急事態宣言が解除されましたが、コロナ危機はまだまだ先行きが見えず、厳しい日々がつづきますね。
さて、今日は「異なるものの中から同じを見つける」力が逆境に強い、レジリエントな力でもあることについて、です。レジリエントとは、「強靭」と訳されることもありますが、たんに「強い」のではなく、ダメージに見舞われても回復力があることです。国連の持続可能な開発目標(SDGs)でも「レジリエントなインフラ」「レジリエントで持続可能な都市」など、重要なコンセプトの1つになっています。

少し前になりますが、コロナ危機の中、そんなレジリエントな力を感じた記事が東京新聞に掲載されていました。
「夫がテレワークになり、神経をすり減らしている――。そんな母親たちの声を受け、北区の子育てママ応援サロン『ほっこり~の』は、パパ向け臨時シェアオフィスを始めた」と始まる記事では、次のようなことが書かれています。
コロナのため休業中の「ほっこり~の」は、代わりに電話相談を始めていましたが、在宅勤務中の夫が「子どもを静かにさせろ」と怒鳴るという人や、電話がつながった瞬間に泣き出す人もいるなど子育て中のママたちの悲鳴を受けて、子育てサロンを「パパ用オフィス」として貸し出すことにしました。
1日4人まで個室が利用でき、電源やWi-fiなどもあって6時間で3000円。利用した男性の「(家では)子どもが仕事の電話中も寄ってきて、つい怒ってしまう時もあるが、ここなら集中できる」というコメントも紹介されています。

ほこり~の新聞部分


(東京新聞 2020年4月22日)

子育てサロンをパパ用オフィスにするという発想は、代表の内海千津子さんの「逆転の発想でパパを預かっちゃいます」という言葉どおり、すばらしい発想の転換だと思います。

記事から想像したことを、図にすると次のようになります(あくまで私の想像を図式化したものです)。

コロナ前はこんな感じ。

ほっこり~の1

コロナが流行してからはこんな感じ。

ほっこり~の2


「子育てママ応援サロン」(以下ママサロン)の事業は、子育て中のお母さんたちに子連れでサロンに来てもらって、その場でサロン職員や他の親子と交流することで、孤立したワンオペ育児から束の間解放されて気分転換したり、愚痴や子育て情報などを交換してもらうことでお母さんたちの力になることです。
ママサロンは、お母さんたちがおしゃべりしたり、ちいさい子を遊ばせたり、ゆったりリラックスできる場所です。その場所をお父さんたちが仕事のために使うというのは、いろいろかけ離れていてびっくりしてしまいますが、ママサロンの事業の目的という観点から、ET論的に図にするとこのようになります。

ほっこり~の方程式


ママサロンの事業の目的から見た本質は「サロンのスペースを使ってママを応援すること」です。
コロナ前、家にいるお母さんたちがワンオペで疲れているときは、母子がサロンに移動して、この目的を達成していました。
コロナ流行下、お母さんたちが家にいる夫によってストレスを感じているときは、夫(父親たち)がサロンに移動して、お母さんたちのストレスを減らして事業の目的を達成しています。
サロンに来る人やサロンの使い方は変わっても、事業の目的からみた本質は変わっていないのです。
さらに、この発想の転換によって、お母さんたちだけでなく、お父さんたちも集中して仕事ができますし、サロン事業にとっても収入が得られます。苦境の中でまさにレジリエントな発想力だと思います。


次に、同じようにレジリエントな発想の転換で、窮地を乗り越えた別の例を紹介します。
 明治時代の終わりごろ、大阪の小規模な電球メーカーだったその会社は、大手メーカーが電球を量産するようになってピンチに陥ったとき、「自社がもっている製造技術を生かして事業を継続する」という観点から、製造するものを、電球から魔法瓶に変えて成功をおさめました。
どうしてこのような業種転換が可能だったのでしょう?
それは、電球も魔法瓶もガラスを使って作られていて、形や大きさ、厚みや強度などは違っていても、「中を真空にしたガラスビン」という点では同じだったからです。当時の魔法瓶の基本的な構造は、中が真空の二重構造のガラスビンだったのです。

電球と魔法瓶イコール

 そこでこの会社は、電球をつくる技術の中の「中を真空にしたガラスビン」製造技術を生かして、つくる製品を切り替えました。

電球から魔法瓶式


今日では、素材がガラスからステンレスに変わり、大きさや使い方も変化し、魔法瓶はあまり見かけなくなり、かわりにマイボトルを使うことが多くなりましたが、飲み物の温度を保つための基本的な仕組み、構造は同じです。
 この会社は、大手メーカーに圧されて大変なとき、「電球」やその業種に囚われず、自分たちの持つ真空のガラスビンを作る技術を生かして、まったく異なる製品、魔法瓶を作る事業に切り替えることで苦境を乗り越えることができたのです。
(市川亀久彌著『創造性の科学』より)

全国魔法瓶工業組合のサイトによると、日本で最初に魔法瓶を作ったのは日本電球会社に在籍していた八木亭二郎さんという方で、輸入された魔法瓶を解体・研究して、1912年(明治45年)に魔法瓶の国産化に成功し、「八木魔法壜製作所」を設立したそうです。
今も有名な象印マホービン株式会社もタイガー魔法瓶株式会社も大阪の企業ですが、このサイトでは、江戸時代からガラス工房があった大阪でガラス工業が盛んだったことから、魔法瓶製造も盛んになったことも紹介しています。
http://mahobin.org/episode.html

2つの例で見たように、自分の力ではどうしようもない苦境に立たされた時、本当に大切な観点から本質を見極めることはレジリエントな力につながります。
ある観点から本質を見極めることは、ある観点で「異なるものの中から同じを見つける」ことでもあります。どんな観点から、どんな要素を削ぎ落して、どんな本質を見出せるのか、それによって得られる発想は大きくちがってきます。
でも、じつは多くの場合、観点を定めて、そこから本質を抽出して......と順を追って思考しているのではありません。観点と本質の発見、さらには解決案・新しい発想のうっすらとしたイメージをつかむところまで、たいてい、ひらめきのように直感的に同時に起こります。
「異なるものの中から同じを見つける」力を鍛えることは、さまざまなレベル、さまざまな位相、さまざまな遠近感での観点とその本質を発見する力を養います。「異なるものの中から同じを見つける」力がレジリエントな力につながる理由がここにあります。

「異なるものの中から『同じ』を見つける」力は、あらゆる区分を飛び越える

 こんにちは。
 ナイキのCMが話題ですね。

 


 ナイキのHPによると、タイトルは『動かしつづける。自分を。未来を。』。「アスリートのリアルな実体験に基づいたストーリー。3人のサッカー少女が、スポーツを通して自信を深め、自分たちの未来を動かしつづける。」とあります。
 否定的な意見もあるそうですが、私は、みんながありのままで生きられる世界を自分たちでつくっていこう、というメッセージのこのCMはいい動画だと思います。

 ところで、今や巨大企業となったナイキの創業者フィル・ナイトさんが、50年以上前、いちばん始めに販売したのは日本製のシューズでした。今回は、そのシューズをつくった鬼塚喜八郎さんが、バスケットシューズを開発したときの等価変換についてです。

さて、鬼塚さんの発想の過程をクイズ形式でみていきます。
 1940年代後半、敗戦間もない神戸でバスケットシューズ作りに取り組んでいた鬼塚さんは、「走っていても急にぴたっと止ることのできるシューズが欲しい」というバスケット選手の意見を聞いて、日々、どうすればそんなシューズができるか考えてつづけていました。
 そんなある日、晩御飯に出されたある料理を見て、「これだ!」と閃いて革新的なバスケットシューズを開発しました。
 ここでクイズです。次の写真を見てください。

りょうり4つ

(料理の写真はphotoACさんより)

 鬼塚さんが「これだ!」と閃いたある料理とはなんだと思いますか?

 a お好み焼き
 b 太巻き
 c タコの酢の物
 d かまぼこ
 
 
 答えはタコの酢の物です。鬼塚さんはタコの酢の物を見て、靴底に吸盤のようなくぼみの深いバスケットシューズをつくることを閃いたそうです。もしかすると、ほかのどれかを見て、まったく違う発想のバスケットシューズを作っていたかもしれませんが、このときは、タコの酢の物が鬼塚さんにインスピレーションを与えたのでした。

アシックス


                          アシックスHPより


 1950年代初めに発売されたこのシューズは大成功でした。鬼塚さんはこの後も、マメのできにくいマラソンシューズや、その他いろいろな競技用のシューズを開発していきます。
 鬼塚さんの会社はのちにアシックスという会社になりました。このエピソードは、アシックスとオニツカタイガーのサイトで紹介されています。

 のちにナイキの創業者となるフィル・ナイトさんは、学生時代に、日本製のカメラがドイツ製のカメラに迫っているように、日本製のスポーツシューズも、アディダスやプーマなどのドイツ製のシューズに勝てるか? というような論文を書いていたそうです。
 そして、高性能・低価格の日本製のシューズの販売店になろうと1960年代初頭に来日、神戸を訪れ、まだ起業する前だったにもかかわらず、鬼塚さんと会ってアメリカでの販売代理店契約を結んだそうです。
 鬼塚さんがタコの酢の物から画期的なシューズを発想したことと、現在のスポーツシューズやスニーカーブームのつながりが感じられるエピソードです。

 鬼塚さんは、タコの酢のものから、新しいバスケットシューズを閃きましたが、もちろん、そのままではうまくいきません。

たこからタコシューズ


 鬼塚さんの創造の過程は先ほどの図に当てはめると、次のように説明できます。

タコからバスケットシューズ式


 鬼塚さんの頭の中では、「どうすれば急に止まれるシューズが作れるか」と一所懸命に考えていたところに、タコ酢の物(A)という形の情報が目に飛び込んできて、直感的に課題解決の形として吸盤型の靴底(B)を閃きました。その閃きを分解すると、Aの情報に接した瞬間に、タコの吸盤が「吸盤」に抽象化されて、靴底に応用できること、すなわち、AとBに「同じ」があることを見抜いたということです。
 その後、「吸盤」に必要な変更を加えて試行錯誤を重ね、最終的に適した形でバスケットシューズに生かされました。

 創造的な閃きには、自分の課題に必要な観点からものごとの本質を抽出すること(抽象化)が不可欠です。それは、上の図で言えば、AとBの「同じ」を見つけること、すなわち、「異なるものの中から『同じ』を見つける」ことです。
 この、「異なるものの中から『同じ』を見つける」力は、ものごとの表面的なことから思考を解放して、「食べもの」や「生物」、「人が履くもの」や「人工物」など、カテゴリーや素材、用途、大きさなど、あらゆる区分を飛び越える力を持っています。だからこそ、ダイナミックな発想が生まれるのです。

 また、あらゆる区分を飛び越える「異なるものの中から『同じ』を見つける」ことは、冒頭のナイキのCMが発信していたような、多様性を重視する社会をつくることにも役に立つのではないか、とも考えています。それについては、いずれ書いてみたいと思います。

創造理論「等価変換理論(Equivalent Transformation Theory =ET理論)」による子ども向けプログラムを開発・実施。創造性は生きる力につながります。ここではET理論の基礎となる考え方や、その視点から考えたことを書いていきます。等価変換創造学会準会員。

★第6回★ パフォーマー ちゃんへん.さんの閃きから、直感力を考える (市川はるみ)

こんにちは。
最近、パフォーマー(大道芸人)ちゃんへん.さんの『ぼくは挑戦人』という本を読みました。

ぼくは挑戦人

  その中に、課題を抱えていたときに目に入ったことから閃きを得たというエピソードがありました。
「閃き」については、以前、「結晶化」という面から説明しました。

 

 この本の中で、ある閃きについて書かれていました。
 17歳のときにはじめて出場した大道芸のワールドカップでのこと。1日目のパフォーマンスで、
難度の高い技も決めて「練習の成果を発揮できた」のに、お客さんの反応がよくなかったそうです。

 

 そこで、2日目、3日目はお客さんにわかりやすいように、言葉での説明を加え、テンポを下げ、
技の難易度を落としたスタイルにすると、改善の甲斐があってお客さんは盛り上がってくれて、
投げ銭もたくさん入れてくれました。

 

 3日目のパフォーマンスの後、「何かいい方法はないだろうか」と再び他の人のパフォーマンスを
観察します。
リンゴ飴をなめながら見ているちゃんへん.さんの視界に、ミキサーを操作してBGMを少しづつ大きく
している音響担当の人の姿が飛び込んできました。
その様子を見たちゃんへん.さんは、「あることが閃いた」といいます。

さあ、何が閃いたのでしょう?

 

答えはココから

https://note.com/harumiichikawa/n/n44cfdbbfbf54

 

ちぇんへん.さんは直感的に「BGMの音量を少しづつ上げること」(A)と、
「技の難易度を少しづつ上げること」(B)の中の「同じ」を見抜いて、
高い難度の技でお客さんに盛り上がってもらうショーのスタイルを閃いたのです。

 

ET理論的に言うと、直感的に「お客さんの感じ方という視点」で抽象化した
「BGMの音量」と「技の難易度」という異なるもの中の「同じ」を見つけたのです。

 

詳細は市川はるみ氏のホームページをご覧ください。
https://note.com/harumiichikawa/n/n44cfdbbfbf54

 

NEW★第5回★ 発想の転換でダイナミックな「創造」が生まれる(市川はるみ)「家庭用のアイスクリームメーカー」

今回は等価変換創造学会員の上坂 且さんが開発した、家庭用のアイスクリームメーカーについて紹介します。

 当時、上坂 且さんの隣の部署で、「チルファスト」という蓄冷体が開発されました。マイナス10℃以下にまで温度が下がる蓄冷剤を、熱伝導率の高いアルミ容器に詰めたものです。十分に凍らせた蓄冷体を冷凍庫から出すと、蓄冷剤の熱(冷たさ)がアルミを通して少しづつ外気に放出されます。冷蔵車が一般的ではなかったので、冷蔵品を輸送するときの保冷用に開発されました。上坂さんは好奇心から家に1つ持ち帰ったものの、何カ月も冷蔵庫の冷凍室に入れっぱなしになっていました。

ある日、思い出して取りだして見ると缶全体に真っ白に霜がふいていました。そこに、たまたま息子さんがやってきて、牛乳パックを開けようとして手を滑らし、牛乳のしずくが「チルファスト」の缶にかかりました。


すると、缶の表面の牛乳のしずくが見る間に固まり、上坂さんはそれを爪でしごいた瞬間、「これでアイスクリームが作れるかも知れない」と思いました。

上坂 且さんが開発し、1983年に世界で初めて発売された家庭用アイスクリームメーカーでした。
 そのアイスクリームメーカーは、「どんびえ」という商品名で、あらかじめ冷凍庫で7時間以上凍らせた容器に原料を入れ、ハンドルを回して攪拌すると、どんどん凍ってアイスクリームができるというものです。発売されると一世を風靡し、日本だけでなく海外でも大ヒットしました。(下の写真)

この発想を、等価変換論(ET論)の等価方程式の図に当てはめると下のようになります。

市川はるみNOTE 「閃き」の瞬間にある「異なるものの中から『同じ』を見つける」 より https://note.com/harumiichikawa/n/n7478f70a2d77

★第4回 皿の水に浮かんだ油から、溶かしたスズにガラスを浮かべる「フロート(法)」ガラス製造法の発想

市川はるみNOTE 「閃き」の瞬間にある「異なるものの中から『同じ』を見つける」 より https://note.com/harumiichikawa/n/nc38d072c239d

★第3回 子育てサロンをパパ用オフィスにするという発想

(東京新聞 2020年4月22日)から引用 

市川はるみNOTEより https://note.com/harumiichikawa/n/nfaf7578b996b

★第3回b「中を真空にしたガラスビン」という点では同じ

市川はるみNOTEより https://note.com/harumiichikawa/n/nfaf7578b996b

★第2回 袈裟着て、経を読む

こんにちは。
 新型コロナウイルスの感染拡大が深刻になり、不便と不安の中でお過ごしのことと思います。医療関係者やインフラを支えてくださっている方々に深謝します。

 こんなときですが、「異なるものの中に同じを見つける」ことについて、第2回目です。・・・つづきはココ https://note.com/harumiichikawa/n/n484e01aa0f8d

★第1回 イカとロケットの同じところは?

さっそくですが、イカとロケットの同じところは何でしょうか?・・・つづきはココ https://note.com/harumiichikawa

市川はるみ氏
創造理論「等価変換理論(Equivalent Transformation Theory =ET理論)」による子ども向けプログラムを開発・実施。創造性は生きる力につながります。ここではET理論の基礎となる考え方や、その視点から考えたことを書いていきます。等価変換創造学会準会員。

☆とうかカード(かるた)はトピック!

あなたの創造力を試しています。このイラストは「モノ」とそれを創造するときのヒントとなった「自然・現象」とがペアとなっています。全部のペアを指摘できますか? できれば合格ですよ。

活動トピックス

日本創造力開発センターの活動ページで最新版を参照ください。

*2020年度05月の活動報告です(2020年6月8日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2020年度04月の活動報告です(2020年5月11日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2020年度03月の活動報告です(2020年4月8日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2020年度02月の活動報告です(2020年3月8日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2020年度01月の活動報告です(2020年2月5日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2019年度12月の活動報告です(2019年1月8日)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2019年11月度活動報告です(2019年12月5日事務局)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2019年10月度活動報告です(2019年11月6日事務局)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2019年9月度活動報告です(2019年10月4日事務局)

日本創造力開発センターの活動ページをご覧ください。

*2019年6月30日(日)第32回CAMP子供発明ワークショップ/SCSK北浜オフィス(大阪)が開催されました。実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/1022/)   にあります
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*2018年9月2日(日)第31回CAMP子供発明ワークショップが東京大学 情報学環・福武ホールで開催されました。実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/996/)にあります。

*2017年4月23日(日)CAMP子供発明ワークショップが晴海のCAMPスタジオで開催されました。実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/960/)にあります。

*2016年12月17日(土)NPO法人日本創造力開発センターは創立10周年を迎え第10期通常総会と記念パーティーを開催いたしました。この総会において理事長は本馬達夫から交代し、新たに松木 暉が就任いたしました。また、NPO法人紹介の新しいパンフレット「明日のイノベーターを育てよう」を作成いたしました。

*2016年12月NPO法人日本創造力開発センターおよび等価変換創造学会会員である久野敦司著作の書籍「発明少年・Z アイデアノートを使った発明能力鍛錬法」が株式会社パレードから新しく出版されました。 

*2016年1月21日(木)、28日(木)CAMP発明ワークショップ@落合第六小学校(東京)が開催されました。実施内容はhttp://www.camp-k.com/wsreport/934/)にあります。 

*2015年12月公益社団法人日本バリュー・エンジニアリング協会の機関誌「Value Engineering」NO.291 2015, 12 にVE関連技法の紹介シリーズのうちの一つとして「身近なモノを発想のヒントとする等価変換理論 松木 暉」が掲載されました。

*2015年7月17日(木) ソーシャルアクションリングホームページにNPO法人日本創造力開発センターの活動についての紹介記事が掲載されました。(http://www.social-action-ring.org/detail/detail-1232/)

*2015年7月4日(土) 等価変換創造理論入門パンフレット『「異なるものの中に潜む同じもの」を見つける -新たな価値を生む創造の本質と応用展開-』を新たにアップロードいたしました。 

*2015年6月28日(日)CAMP発明ワークショップ@秋葉原ダイビルが開催されました。

実施内容はhttp://www.camp-k.com/wsreport/913/)にあります。

*2014年4月13日(日)ナレッジキャピタル×CAMP発明ワークショップ(大阪)が開催されました。(終了しました)

実施内容はhttp://www.camp-k.com/wsreport/867/)にあります。 

*2013年10月NPO法人日本創造力開発センター副理事長で等価変換創造学会代表幹事である松木暉著でリバネス出版社から「創造性についての対話 ―発想のしくみとトレーニング法―」が新しく出版されました。新しいものを生み出したいあなたへ贈る、 発想のしくみとトレーニング方法を学べる本です。(http://lvnshop.com/shopdetail/006003000003/order

*2013年10月1日通信講座「身近なものから学ぶものづくりのヒント」を開講しました(http://www.jtex.ac.jp/A-21.htm) 受講申込受付中です。

主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター

*2013年8月20日(火)京都水族館×CAMP発明ワークショップ(京都)が開催されました。

実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/847/)にあります。 

*2013年6月11日(火)「等価変換理論の解説」ページに「第4回:創造工学技術論による技術・技能の伝承」を掲載いたしました。

*2013年7月14日(日)ナレッジキャピタル×CAMP発明ワークショップ(大阪)が開催される予定で現在参加者募集中です。(終了しました)

実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/832/)にあります。 

*2013年5月2日(木)「等価変換理論の解説」ページに「第3回:フローチャートによる発明・開発事例の紹介」を掲載いたしました。

*2013年4月4日(木)「等価変換理論の解説」ページに「第2 回:等価方程式とフローチャート」を掲載いたしました。

*2013年2月22日(金)新しく「等価変換理論の解説」ページを追加し、「第1 回:創造理論の系譜、等価変換理論が出来た経緯、等価変換理論の概要」を掲載いたしました。

*2013年3月23日(土)CAMP発明ワークショップ@SCSK(株)中部栄オフィスが開催される予定で現在参加者募集中です。(終了しました)

実施内容は(http://www.camp-k.com/wsreport/821/)にあります。  

*2012年12月10日(月)新しく「ブログ」ページをスタートいたしました。

*2012年1月21日  新しく等価変換創造理論(ET論)Q&Aのページを追加しました。

*2011年10月CSKホールディングス(大川センター)が中心となって開催されてきたこども向け「CAMP発明ワークショップ」のこれまでに蓄積したノウハウを集めたワークショップのパッケージ『CAMPACO(キャンパコ)』ができあがり、この度、SCSK株式会社よりCAMPの活動趣旨に賛同される方々に提供が開始されました。(http://www.camp-k.com/otona/achikochi/index.php

*新しく「とうかカード」のページを追加しました。

*2008年12月絶版になっていた準共著である湯川秀樹/著 市川亀久彌/聞き役「天才の世界」が光文社知恵の森文庫から出版されました。

 

 

通信講座「図解 自働化カイゼン入門 ~からくりあれこれ~」

http://www.jtex.ac.jp/H-54.htm)受講申し込み受付中。

【平成30年4月1日開講】

【令和元年7月31日現在、受講者累計341名】(2019.8.19更新)(NEW)
主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター。

 

通信講座「図解 自働化カイゼン入門 ~からくりあれこれ~」

http://www.jtex.ac.jp/H-54.htm)受講申し込み受付中。

【2018年4月1日開講】

【2019年7月31日現在、受講者累計341名】(2019.8.19更新

主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター。

 

*通信講座「身近なものから学ぶものづくりのヒント」

(http://www.jtex.ac.jp/A-21.htm) (2013年10月1日募集開始)受講申し込み受付中

(2019年7月31日現在受講者累計801人)

主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター

 

*通信講座ものづくりの「アイデア自由自在」-売れる商品のアイディアの出し方― 』(http://www.jtex.ac.jp/A-22.htm)現在 受講申込受付中。

   (2019年7月31日現在受講者累計2158人

主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター

 

*通信講座「具体例で学ぶ技術開発力UP講座(TRIZ、等価変換理論入門)」

 募集終了 (2014年5月31日現在受講者累計816人)
主催:JTEX・職業訓練法人 日本技能教育開発センター